母子家庭(ひとり親)が受けられる手当・支援制度一覧

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
離婚や死別によって母子家庭・父子家庭(ひとり親家庭)になった場合、仕事をしながら子育てをすることになるため、働き方を制限せざるを得ず、経済的問題を抱える方が多い傾向にあります。
そこで、ぜひ活用したいのが、少しでも経済的負担を軽減して、ご自身と子供が安定した生活を送れるために国や各自治体が用意している手当や支援制度です。
本記事では、母子(父子)家庭のひとり親家庭が受けられる手当・支援制度をわかりやすく解説していきます。
なお、2024年(令和6年)に一部改正されていますので、改正された内容で解説しております。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-164
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メールで相談するこの記事の目次
母子家庭(シングルマザー)が受けられる手当・支援制度一覧
母子(父子)家庭には、国や各自治体によって、ひとり親の生活をサポートするための様々な制度が用意されています。
母子(父子)家庭が受けられる手当・支援制度は次のとおりになります。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- ひとり親家庭等医療費助成制度
- 母子家庭の住宅手当
- 特別児童扶養手当
- 障害児福祉手当
- 生活保護
- 遺族年金
- 児童育成手当
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
もっとも、手当や支援制度は、ひとり親のみを対象にしたものとは限りません。
例えば、児童手当は子供を持つすべての家庭を対象にしたものであり、生活保護制度は生活が苦しいすべての家庭を対象にしています。
様々な支援策があり、併用できますので、次項よりひとつずつ解説していきます。
なお、ご紹介する母子(父子)家庭への手当・支援制度には、所得制限や制度の有無、受給要件、内容などがお住まいの地域によって異なる場合があります。
詳しくは、お住まいの地域の自治体にお問合せください。
児童手当
児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定を寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やか成長に資することを目的に支給されるものです。
児童手当は、ひとり親家庭に限らず、支給対象の児童を持つすべての家庭を対象にしています。
また、2024年(令和6年)10月より児童手当が拡充され、支給月額や対象年齢などが変更され、所得制限もなくなりました。
支給対象者
児童(0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子)を養育している方
また児童手当制度では、次のルールが適用されます。
- 児童が日本国内に住んでいる場合に支給する(留学のために海外に居住していて一定の要件を満たす場合は支給対象)
- 父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給する
- 父母が海外に住んでいる場合は、その父母が日本国内で児童を養育している方を指定すれば、その方(父母指定者)に支給する
- 児童を養育している未成年後見人がいる場合は、その未成年後見人に支給する
- 児童が施設に入所している場合や里親などに委託されている場合は、その施設の設置者や里親に支給する
支給月額
2024年(令和6年)10月からの支給月額は、次表のとおりとなります。
児童の年齢 | 児童手当の金額(1人あたり月額) |
---|---|
3歳未満 | 1万5000円(第3子以降は3万円) |
3歳~18歳(高校卒業まで) | 1万円(第3子以降は3万円) |
支給月
2024年(令和6年)10月からの支給月は、次のとおりとなります。
- 2月(支給当該月12月、1月)
- 4月(支給当該月2月、3月)
- 6月(支給当該月4月、5月)
- 8月(支給当該月6月、7月)
- 10月(支給当該月8月、9月)
- 12月(支給当該月10月、11月)
児童扶養手当
父または母と生計を同じくしていない児童が育成されるひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進に寄与するために作られた制度です。
2024年(令和6年)11月1日から児童扶養手当法等の一部が改正されて、所得限度額と第3子以降の加算額が引き上げられました。
支給対象者
- 次の1~9のうち、いずれかの条件にあてはまる児童が18歳になった年の3月31日までの期間、養育している父親または母親
もしくは、父母に代わって児童と同居して養育している方 - 20歳未満で政令が定める程度の障害がある児童を養育している方
- 1.父母が婚姻を解消(事実婚の解消含む)した後、父または母と生計を同じくしていない児童
- 2.父または母が死亡した児童
- 3.父または母が重度の障害の状態(国民年金の障害等級1級程度)にある児童
- 4.父または母の生死が明らかでない児童
- 5.父または母から引き続き1年以上遺棄されている児童
- 6.父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
- 7.母が婚姻によらないで生まれた児童
- 8.父母の存在が不明である児童
- 9.父また母が母または父の申し立てにより保護命令を受けている児童
支給月額
2024年(令和6年)11月からの児童扶養手当の支給額は次表のとおりとなります。
区分 | 全額支給 | 一部支給 |
---|---|---|
児童1人 | 4万5500円 | 4万5490円~1万740円 |
加算額(児童2人目) | 1万750円 | 1万740円~5380円 |
加算額(児童3人目以降1人につき) | 児童2人目と同額 | 児童2人目と同額 |
支給額は、前年度の所得に基づいて、児童の人数によって異なり「全額支給」、「一部支給」、「不支給」と3区分に分かれます。
全額支給の場合は、児童1人あたり月額4万5500円が支給されるのではなく、2人目から1万750円、3人目以降も2人目と同額の1万750円が加算されることになります。
児童扶養手当は、税金の対象ではなく非課税となります。
所得制限
2024年(令和6年)11月分からの所得制限は次表のとおりです。
扶養親族等の人数 | 受給資格者本人の所得(全部支給) | 受給資格者本人の所得(一部支給) | 扶養義務者・配偶者等の所得 |
---|---|---|---|
0人 | 69万円未満 | 208万円未満 | 236万円未満 |
1人 | 107万円未満 | 246万円未満 | 274万円未満 |
2人 | 145万円未満 | 284万円未満 | 312万円未満 |
3人 | 183万円未満 | 322万円未満 | 350万円未満 |
4人 | 221万円未満 | 360万円未満 | 388万円未満 |
5人 | 259万円未満 | 398万円未満 | 426万円未満 |
児童扶養手当は上図のとおり、受給資格者本人もしくは配偶者・扶養義務者などの所得額を扶養親族等の人数に応じた所得制限限度額に照らし合わせて決まります。
扶養義務者は、生計が同一とみなされる受給者の父母、兄弟姉妹、祖父母、18歳以上の子供のうち最も所得の高い人が対象となります。
例えば、扶養親族が1人(母親1人、子供1人)の場合は、受給者の前年所得が107万円未満であれば全額受給となり、月額4万5500円が2ヶ月分まとめて、計9万1000円が支払われることになります。
107万円を超えても246万円未満であれば、所得金額に応じて計算されて一部支給となります。
なお、所得は、前年の収入から養育費の8割相当を加算して必要経費(給与所得控除など)を差し引いた額です。
支給月
支給月は、次のとおりとなります。
- 1月(支給当該月11月、12月)
- 3月(支給当該月1月、2月)
- 5月(支給当該月3月、4月)
- 7月(支給当該月5月、6月)
- 9月(支給当該月7月、8月)
- 11月(支給当該月9月、10月)
ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親家庭の経済的負担を軽減するため、児童または母親(父親)が医療機関を受診した場合の医療費の一部負担金がお住まいの自治体が助成する制度です。
ひとり親家庭等医療費助成制度は、各自治体によって対象者の範囲や自己負担の有無、所得制限の内容などが異なりますので、詳しくはお住まいの自治体に確認してください。
支給対象者
ひとり親家庭等の父または母または養育者と児童(年齢が18歳になる最初の3月31日までの者)で、医療保険(国民健康保険、社会保険など)に加入している方 など
ただし、生活保護を受給している方、里親に委託されている方など対象外の条件もあります。
所得制限
2025年(令和7年)1月からの所得制限額は次表のとおりとなります。
扶養人数の数 | 本人の所得制限 | 扶養義務者・配偶者などの所得制限 |
---|---|---|
0人 | 208万円未満 | 236万円未満 |
1人 | 246万円未満 | 274万円未満 |
2人 | 284万円未満 | 312万円未満 |
3人 | 322万円未満 | 350万円未満 |
4人 | 360万円未満 | 388万円未満 |
扶養親族1人増すごと | 38万円を加算 | 38万円を加算 |
その他の加算 | 老人扶養親族1人につき、10万円 特定扶養親族1人につき、15万円 |
老人扶養親族1人につき、6万円(ただし、扶養親族が老人扶養親族1人のみの場合は2人目から加算対象) |
そのほかにも親に対する医療費補助はありませんが、すべての子供を対象とした「こども医療費補助制度」があります。「ひとり親家庭等医療費支給制度」が所得制限などで該当しなかった方は「こども医療費助成制度」をご確認ください。
「母子(父子)家庭が受けられる医療費助成制度」について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
合わせて読みたい関連記事
母子家庭の住宅手当
ひとり親世帯の家賃を一部補助してもらえる制度です。
住宅手当は、自治体独自の制度となりますので、制度の有無や内容は各自治体によって異なります。
名称自体も、各自治体によって様々ですので、詳しくはお住まいの自治体にお問合せください。
支給対象者
- 20歳未満の児童を養育している母子(父子)家庭で、家族で住む家を借りて、およそ月額5000円から1万円を超える家賃を払っている方
- お住まいの住所地に6ヶ月以上在住している方 など
特別児童扶養手当
精神または身体の障害を有する児童について手当を支給することにより、これらの児童の福祉の増進を図ることを目的とした手当です。
所得制限がありますので、前年の所得が一定額以上であるときは支給されません。
詳しくはお住まいの自治体にお問合せください。
支給対象者
20歳未満で精神または身体に障害を有する児童を監護、養育している父母など
支給月額
2024年(令和6年)4月からの支給月額は次表のとおりです。
障害の級 | 支給金額(月額) |
---|---|
1級(重度障害児) | 5万5350円 |
2級(中度障害児) | 3万6860円 |
※障害の度合いによって支給額は異なります。
支給日
- 4月(支給該当月12月、1月、2月、3月分)
- 8月(支給該当月4月、5月、6月、7月分)
- 12月(支給該当月8月、9月、10月、11月分)
障害児福祉手当
重度障害児に対して、その生涯のため必要となる精神的、物質的な特別な負担軽減の一助として支給される手当です。特別障害児の福祉の向上を図ることを目的にしています。
ただし、所得制限がありますので、前年の所得が一定額以上であるときは支給されません。
支給要件
精神または身体に重度の障害を有するため、日常生活において常に介護が必要とする状態にある在宅の20歳未満の方(ただし、施設に入所されている方は対象外となります)
支給月額
2024年(令和6年)4月からの支給月額は次のとおりです。
月額1万5690円
支給日
- 2月(支給該当月11月、12月、1月分)
- 5月(支給該当月2月、3月、4月分)
- 8月(支給該当月5月、6月、7月分)
- 11月(支給該当月8月、9月、10月分)
生活保護
ひとり親家庭に限らず、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する者に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行う、生活保護という制度があります。この制度は、憲法25条に規定されている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を助長することを目的としています。
支給対象者
生活保護は、基本的に以下の4つを活用したうえで、世帯収入が厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費よりも低い場合に支給されます。
資産 | 預貯金、生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却などをして生活費に充ててください。 |
---|---|
能力 | 働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。 |
他の公的支援制度 | 年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。 |
扶養義務者の扶養 | 親族などから援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。 |
支給額
最低生活費から世帯収入を差し引いた金額が、支給額となります。ただし、最低生活費は、地域や世帯の構成等によって異なります。詳しくは、お住まいの地域を所管する福祉事務所にお問い合わせください。
遺族年金
遺族年金とは、国民年金保険または厚生年金保険に加入していた被保険者が亡くなった際、その被保険者によって生計を維持されていた遺族が受け取れるものです。
加入先により年金の名称等が異なりますので詳しくは、お近くの年金事務所にお問合せください。
「遺族基礎年金」
亡くなった方の職業が自営業やフリーランスなどで国民年金の被保険者であった方の遺族が受け取れます
「遺族厚生年金」
亡くなった方の職業が会社員や公務員などで厚生年金の被保険者であった方の遺族が受け取れます
児童育成手当
死亡や離婚などによって父親または母親がいない児童を養育している方に、児童の福祉の増進を図ることを目的として、児童の心身の健やかな成長を助成することを趣旨としており、東京都独自の給付金制度です。
児童育成手当には、「育成手当」と「障害手当」があります。
なお、手当には所得制限があり、申請者の前年中(1月~7月分の手当は前々年中)の所得額が限度額以上の場合は申請できません。
支給対象者
【児童手当の場合】
次の1~8のうち、いずれかの条件にあてはまる児童が18歳になった年の3月31日までの期間、養育している父親または母親
もしくは、父母に代わって児童と同居して養育している方
- 1.父母が離婚した児童
- 2.父または母が死亡した児童
- 3.父または母が重度の障害(身体障害者手帳1~2級程度)を有する児童
- 4.父または母が生死不明である児童
- 5.父または母に引き続き1年以上遺棄されている児童
- 6.父または母が裁判所からDV保護命令を受けた児童
- 7.父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
- 8.婚姻によらないで生まれた児童
【障害手当の場合】
次の1~3のうち、いずれかの条件にあてはまる20歳未満の心身障害児を扶養している方
- 1.知的障害児で「愛の手帳」1~3程度
- 2.身体障害者で「身体障害者手帳」1~2級程度
- 3.脳性まひまたは進行性筋委縮症
支給月額
育成手当 | 児童1人につき月額1万3500円 |
---|---|
障害手当 | 児童1人につき月額1万5500円 |
所得制限
扶養人数 | 所得制限額 |
---|---|
0人 | 360万4000円 |
1人 | 398万4000円 |
2人 | 436万4000円 |
3人 | 474万4000円 |
4人以上 | 1人増すごとに38万円を加算 |
支給月
- 2月(支給該当月10月、11月、12月、1月分)
- 6月(支給該当月2月、3月、4月、5月分)
- 10月(支給該当月6月、7月、8月、9月分)
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
母子(父子)家庭や寡婦の方などの経済的自立の支援や、子供の福祉の増進を図るために、子供の高校や大学などの学費、生活費、入学金やご自身の資格取得、引っ越し費用などに必要な資金の貸付を行ってもらえる制度です。
具体的な貸付金の種類は、事業開始資金や事業継続資金、修学資金、技能習得資金、修学資金、就職支度資金、医療介護資金、生活資金、住宅資金、転宅資金、修学支度資金、結婚資金の12種類があります。
利用する資金によっては、連帯保証人を立てることによって無利子で貸し付けを受けることができます。
母子家庭(ひとり親家庭)が受けられる寡婦控除や割引制度
寡婦控除とは、死別や離婚などによって夫を別れて再婚していない女性が受けられる所得控除です。
なお、2020年に行われた税制改正に伴い、内容が一部変更となりました。
併せて2020年に新設されたのが「ひとり親控除」です。納税者がひとり親であるとき、一定の金額の所得控除を受けることができます。
「寡婦控除」と「ひとり親控除」の大きな違いは、婚姻の事実があるかどうかです。「ひとり親控除」は、婚姻の事実がなくても適用されます。
「寡婦控除」と「ひとり親控除」について、下記表でまとめました。
寡婦控除 | ひとり親控除 | |
---|---|---|
条件 | ・夫と離婚した後に婚姻しておらず扶養親族(親・祖父母、孫など)がいる人で合計所得金額が500万円以下 ・夫と死別、生死が明らかでない一定の人で合計所得金額が500万円以下(扶養親族の要件なし) |
・事実婚と同様となる人がいないこと ・生計をともにする子供がいる(ただし、子供がその年の総所得金額などが48万円以下で他の人の同一生計配偶者や扶養親族になってない人に限る) ・合計所得金額が500万円以下 |
婚姻の事実 | 必要 | 不要 |
性別 | 女性のみ | 男女問わず |
所得税 | 27万円 | 35万円 |
住民税 | 26万円 | 30万円 |
公共料金の減免・割引制度
ひとり親家庭の経済的な負担を軽減するため、地域によっては、以下のような減免(減額または免除)・割引制度を実施していることがあります。
- 電車やバスの割引制度
(例:児童扶養手当を受給している方やその世帯の方が、JR線の通勤定期乗車券を購入する際に、3割引になる) - 粗大ごみ等処理手数料の減免制度
- 上下水道料金の減免制度
- 保育料の減免制度
また、税金等の負担に関しては、寡婦控除や、国民健康保険・国民年金の減免制度があります。
国民健康保険、国民年金の減免制度
国民健康保険については、国が定めている軽減制度があります。
世帯主と国民健康保険に加入している家族の総所得が基準額以下の場合に、保険料のうち均等割額と平等割額を、2割・5割・7割のいずれかの割合で軽減するというもので、確定申告をしていれば、申請の必要はありません。また、地方自治体ごとに減免制度を設けているケースもあり、この場合、利用するためには申請が必要になります。
国民年金についても、経済的な事情で保険料を納めることが難しい方のために、保険料の免除制度や保険料納付の猶予制度があります。
母子家庭(ひとり親)のための資格取得支援制度
離婚後、ひとりで子育てするにあたり、より多くの収入を得られるよう、資格取得に励む方もいらっしゃいます。このように、ひとり親家庭の親の経済的な自立を後押しするべく、就業支援の制度を設けている地域があります。
例として、「自立支援教育訓練給付金」と「高等職業訓練促進給付金」を挙げ、次項より説明していきます。
なお、いずれも実施しているかどうかは地域によって異なります。
また、いずれも実施している自治体でも、受給金額の上限が異なる場合もありますので、ご注意ください。
自立支援教育訓練給付金
母子家庭の母親または父子家庭の父親を対象に、就業を目指した主体的な能力開発の取り組みを支援するために、対象の教育訓練を受講した場合に、受講に要した費用の一部が支給される制度です。
自立支援教育訓練給付金は、対象となる教育訓練を受講して修了した場合に、これまで最大支給要件が経費の60%だったのですが、2024年度(令和6年度)より85%へと変わり、年間で最大60万円を受給することができるようになりました。また、所得要件も撤廃されて、制度としての手厚さや利用しやすさが増しました。
高等職業訓練促進給付金
ひとり親の方が就職の際に有利となる資格の取得を目指して養成機関で就業する期間の生活費を支援する制度です。
訓練期間中は、生活費の負担軽減として毎月最大10万円(上限4年)支給されます。
訓練終了後は、就職時の負担軽減として修了時最大5万円を支給してもらえます。
就職の際に有利となる具体的な資格とは、看護師や准看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、調理師、製菓衛生師などの国家資格や、シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格などデジタル分野などの民間資格になります。
母子家庭の手当に関するQ&A
- Q:
養育費を一括で支払ってもらった場合、児童扶養手当は受給できませんか?
- A:
児童扶養手当は前年度の所得制限があります。養育費を一括でもらった年の翌年は「給与所得+養育費一括分の8割―必要経費」となりますので、所得制限に引っ掛かり、児童扶養手当は受給するのは難しいでしょう。
例えば、子供が2人いる専業主婦の方が離婚をして複数年分の養育費を一括で500万円もらった場合、2024年(令和6年)11月から児童扶養手当法等の一部改正後の計算によると、
離婚した1年目は、前年の収入がないので児童扶養手当の全額支給分月額5万6250円支給されるでしょう。
離婚した2年目は養育費の8割が含まれますので、児童扶養手当はもらえません。
離婚した3年目は、働いた収入のみが反映されますので、所得金額が145万円以下であれば全額支給、284万円以下なら一部支給されるというかたちになります。
- Q:
親と同居している場合でも、母子家庭として手当をもらうことはできますか?
- A:
実家で同居している家族の所得が児童扶養手当(母子手当)の限度額以下の場合、もしくはお住まいの自治体が同居している家族と世帯を別世帯(世帯分離)と判断した場合などは、児童扶養手当を受給できる場合もあります。
例えば、2024年(令和6年)11月分からの所得制限によると、子供が2人の場合の児童扶養手当が全額支給対象となる本人の所得額は145万円以下となりますが、家族は312万円以下となります。ご本人の所得が145万円以下かつ家族のなかで1番所得の高い方が312万円以下であれば、受給できるでしょう。
世帯分離については、明確な判断基準はありませんが、二世帯住宅や電気・水道・ガスの支払いも独立しているなどであれば、認められる可能性はあります。
実家に戻っても児童扶養手当がもらえるかどうかは、自己判断をせずに、お住まいの市区町村役場に相談して、確認することをお勧めします。
離婚に関するお悩みは弁護士法人ALGまでご相談ください
母子(父子)家庭などのひとり親家庭が受けられる様々な手当金や給付金を解説してきました。
各自治体からの経済的支援を受けても、養育費の計算には影響しません。
しかし、養育費を受け取る金額によっては、児童扶養手当は制限される可能性があります。
各自治体の経済的支援を受けることも、相手に養育費を請求して支払ってもらうことも、どちらも生活を支える大切なことですので、バランスを考えて離婚後の生活基盤を考える必要があります。
養育費をはじめ離婚問題でお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
養育費以外の財産分与や慰謝料なども取り決める内容によって、離婚後の生活にとても大きく左右します。
弁護士法人ALGは、離婚案件を多く取り扱っており、経験豊富な弁護士が多数在籍しています。
まずは、お気軽にご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)